投稿:2025-09-26
更新:2025-09-28
少し古い動画ですが、2015年に国立大学附置研究所にて東北大学の川島教授が「脳の鍛え方」について講演されるなかで、Nバックトレーニングについて触れられているのを先日、発見しました。
元のYoutubeの動画を置いておきますので、気になった方はぜひ元の動画もご覧ください(20分45秒あたりからです)
川島教授と言えばDS世代の方はおそらくご存知の方も多いと思います。
そうです、鬼トレの川島教授です。脳トレソフト開発者のイメージの強い川島教授ですが、本職は東北大学に所属され、応用脳科学分野を専門とする日本のトップランナーの研究者の一人です。
この講演の中で、川島教授はN Backトレーニングには脳の前頭前野の体積を大きくする効果がある(つまり賢くなる) など驚きの内容についても話されていましたので、是非みなさんに共有したいと思い記事にしました。
そもそも、N Backトレーニングとは、脳機能を鍛えることで集中力の強化・ミスの減少・マルチタスク能力の強化など、日々の悩みを解消する可能性を秘める、知る人ぞ知るトレーニングのことです。
詳しくは、先日N Back課題の研究の歴史についてまとめましたので、まだ読まれていない方はぜひ読んでみてください。
ここでは、川島先生が講演で触れられていたテーマの中で私が面白いと思ったテーマ2つ
について私の知見も織り交ぜながらご紹介できたらと思います。
そもそも転移とはなんでしょうか。これは心理学や認知科学の分野の用語で、ある分野での経験が他の分野にも活きることを指しています。
上のゲームの画像のようなものをイメージしていただくと分かりやすいです。(Path of Exileというステータスを振りながら育成して遊ぶRPGゲームから持ってきました)
「ある場所のステータスをあげると、付随して周りのステータスも上がって、上位の技が開放される」そんなゲームを遊んだことはないでしょうか?
ゲーム好きな方には素早さのステータスを上げると「先制攻撃」や「高速移動」など、より上位の能力が解放される...という例で伝わるでしょうか。
これが転移です。転移の中にもいくつか種類があるので、代表的な4つの用語を簡単に説明します。
ここで、じゃあいろんなものに正の転移をもたらすことを訓練すれば、なんでもすぐできる天才になるのでは!? そう思われたあなたは、勝手ながら大変センスが良いと思います。(ゲームで例えるならチートスキル的な位置付けでしょうか)
実際、そういったものはあまり多くないですが、意外と身近にあると言われており、研究も盛んに行われています。ピアノや瞑想などがよく挙げられます。
確かに小・中・高の合唱コンクールでピアノの伴奏をやる女子はみんなどこか平均的に地頭が良い感じがするというか、積んでる脳の馬力が違うなぁ...と度々感じることがありました。これは、意外と共感していただけることなのではないでしょうか?
話を戻すと、川島先生いわく、N Backトレーニングは論理的思考力・集中力・想像力・未知のものに対応する能力に転移するトレーニング、とのことなのです。
N Backトレーニングのヤバいところとして、転移すると言われている能力が全部、欲しい能力ばかりなんですよね...
個人的には特に未知のものに対応する能力がワクワクします。初見のことをサラッとこなすって、それはまさに天才と言われる人の特徴ですよね。
N Backトレーニングがなんだか凄まじそうだということは理解していただけつつあると思いますが、川島教授がこの根拠として挙げられていたのが、川島教授が行なった実験で、1ヶ月間Dual N Back(DNB)トレーニングをこなした被験者に対して、MRIにより、大脳の神経細胞層の厚みを図ったところ、被験者の前頭前野の厚みが増加することが分かったという研究結果を報告されていました。
MRIはこういうやつです。
前頭前野は脳のおでこあたりの所のことで、思考・判断・感情の制御など脳の中でも高次の判断を行う部位のことです。
人間は他の動物と比較した時に前頭前野が大きく発達したために、賢い動物として他の生物とは一線を画す存在になったと言われています。
つまり、川島教授の主張は、N Backトレーニングにより、前頭前野が鍛えられるから、前頭前野に関連する、高次で人間的な能力に転移しますよ、ということですね。
講演の中で、川島教授は大学生にNバックタスクをやらせると、N = 2 ~ 3ぐらいからみんな始まって、トレーニングによりどんどんNの値が伸びていくというお話をされていました。
他の能力に転移して、かつ大人になってからでも十分鍛えられるものって結構少ないので、Nバックは本当にすごい力を秘めてますよね。
恥ずかしながら私は元々かなり、マルチタスクや集中力の維持に苦手意識があったこともありN = 2すらはじめは怪しかったですが、そんな私でも今ではなんとかN = 5には食らいつけるようになってきたところです。また目立った成果が出てきたら記事にしてみなさんに共有したいと思います。
講演の中で、川島教授は18バック、川島教授の研究室の准教授は99バックできるとお話されてました...恐ろしすぎると同時に、トレーニング次第でその境地まで行けること、そしてそこまでできるようになった時にはどんな世界が見えているのかと、本当にN Back課題にはワクワクします。
もし興味を持たれたら、N Backトレーニングを手軽にアプリで遊べるUltra N back - 脳トレ(UNB)を先日リリースしましたので、是非遊んでみてください!
Ultra N Back - 脳トレ
集中力の向上・ミスの減少・マルチタスク能力の強化など、お手軽に脳のワーキングメモリという機能を鍛えることで、これらの能力を向上させることができるアプリを開発しました。
App Storeで開く※Google Playは公開準備中
単にNバックが遊べるだけでなく、脳に与える刺激の種類を複数選択できたり、成長の記録をグラフで可視化できたりとN Backタスクアプリの完全決定版とも言えるアプリになっています。